■ 車の両輪
まず、とても大切な基本なのですが、「マーケティングとセールスは車の両輪」なのです。
このことを明確に意識する必要があるのです。
混同していると、考え方だけでなく伴って作業まで混乱してしまいます。
ここで整理してしまってください。
我々が考える、中小ベンチャー企業にとって最も優先して必要なマーケティングとは、よく言われるように「見込み客を効率よく発掘すること」に他なりません。
営業マンの話を聞いてみたいと思う、優良な見込み客を営業マンの前に連れてくるまでの前段階のステップです。
または「需要を創り出すこと」です。
セールスは、成約と商品・サービスの供給。アフターフォロー業務です。
役割として車の両輪ですが、別ものなのです。
ここで言う「マーケティング」とは、難しい高尚な理論を述べるものではありません。
実際は、「マーケティング」という言葉一つでも、実に広義な言葉なのです。
ここで、何が必要で、何が必要でないのかを見極める必要があります。
中小ベンチャー企業において必要なマーケティングの目的とは、何でしょうか??
おおがかりな市場調査ですか??
もちろん、それも中長期戦略としては必要です。
ですが、市場調査が目的ではないはずです。
市場調査するだけで売上に直結するなんて話はありえません。
もしくは、マーケティングの4P(製品、価格、プロモーション、流通戦略)や3C(自社、顧客、競合企業)を明確に分析すること??
それもプロセスの中の手段であって、決して目的ではないですよね。
市場調査も分析も、決して不要とは言いません。
ですが、やればやるほど時間と予算がかかります。
しかし、それらをやり切る体力がない場合や、そんな時間すらかけていられない状況が多々あるのが、多くの中小企業の現実ではないでしょうか。
「最小の手間で、最大の効果を挙げること。」
やはり、このことが最重要ではないでしょうか??
中小企業で必要とされるマーケティングの目的とは??
カンタンに言えば、見込み客を営業マンの前に連れてくることではないでしょうか?
しかし、ただ、連れてくれば良いというわけではありません。
営業マンの話を聴く耳が持てる状態になっている見込み客を連れてくる役割です。
(だからこそ、「見込み客」なのですが。
もっと明確に言えば、「優良見込み客」を連れてくること。)
「営業マンの話を聴きたくてたまらない。スグに教えてくれ。」という、まさしく願ったり適ったりの状態にしてつれてくる。
このことが、中小企業にとって必要なマーケティングの目的なのではないでしょうか。
つまり、中小事業主にとって必要なマーケティングとは・・・
- 大掛かりな予算のかかる市場調査よりも・・・
- 小難しい各種マーケティング理論よりも・・・
- それっぽく見えて使えないノウハウもどきよりも・・・
- とにかく現場主義で、 かつ対費用効果よく集客できること
このことに尽きるのではないのでしょうか?
時代は変われど、人の購買心理の本質は、実は変わりません。
ただ、一昔前ほど単純ではないといえるかもしれません。
しかし、難しくなっているわけでもないのです。
見込み客の心理は変化します。
押し付けほど嫌われるものはありません。
営業マンが、悪気はなくても、熱くなるばかりに押し付けがましくなることは良くあります。
見込み客ほど、敏感にそのことを感じ取り逃げていくものです。
ありがちな失敗パターン
- とにかく、自分の商品の良さをアピール!!
- 感動的に、「とにかく見てください。」
- 何度も、しつこく頭を下げてお願いする・・・。
↑この営業ができる(結果をコンスタントに出し続けられる)人は、軍隊並み訓練が必要。
既にお気付きかもしれませんが、殆どの事業主は【即・客】だけを集めています。
これは、本当にもったいない機会損失なのです。
なぜなら・・・【いつかは客】を集めて、しかるべき手を打っておけば、簡単に手に入れられる数多くのメリットを捨ててしまっているからです。
そのメリットのうち、重要な3点をお伝えしていきます。
【いつかは客】を集めるメリットの1つ目
この段階では競合他社、つまり貴方のライバルとまだ遭遇していないタイミングだ、というメリットです。
~ 考えてもみてください。 ~
【いつかは客】に対して、【即・客】には、あなたのライバル会社が・・・何社も何社も、うようよと集まっているのです。
例えば・・・6ヶ月から一年以内でマンションを購入しようとしている客、つまり【いつかは客】がいるとしましょう。
彼は、どんな行動をとるのか?
まず雑誌や、本を購入して研究しますね。
次に展示場へ行ったり、メーカーからパンフレットを取り寄せたり。
一般的にお客は8-10社のパンフレットを請求するといわれています。
何を意味するのか・・・。
つまり8-10社が、この段階から一斉に競争を開始するのです。
お客様はこの中から、3社程度に絞って詳しく話を聞き、見積もりまで進みます。
そして最終的に一社に絞られていきます。
このプロセスで、このたった一人のお客様に3社が競合して入れ替わり立ち代り、必死のセールスを行うのです。
どのセールスマンも、「うちのマンションは最高だ・・・云々。」と、精力的にプレゼンテーションするのです。
こうなるとお客様は混乱し、どの物件が良いのか判断がつかなくなってきます。
それで価格で判断する部分も出てきて、各社、価格競争に入ってしまいます。
価格競争になると、利幅が減るだけではありません。
この競争は、短距離走であるので全速力で走らなくてはいけません。
どうなるか解らない競争で、全速力で走る必要があるのです。
他社が早ければ、それに負けないように下げなくては即・脱落アウト。
一方、「2年後位にマンションを買っても良いな。
しかし今は予算が足りないな…」という【いつかは客】を集めると、どうなるのでしょうか?
この段階では競合相手は、まだ少ないわけです。
この段階からは競合他社ではなく、自分との勝負です。
いかにお客に信頼していただき、感情的な結びつきを構築出来るかの競争です。
お客に信頼されたら「マンションを買う場合、あそこにお願いしてみよう」と思われるためです。
競合他社は、邪魔なライバルは、この時点でいません。
競争する前に、勝負は半分決まっているようなものではないでしょうか。
【いつかは客】を集めるメリットの2つ目
集客する為のコストが非常に安いということです。
何故でしょう?
【いつかは客】と同時に【即・客】も集まっている可能性が高いからです。
釣りに例えてみます。
(お客様を魚に例えるのは少し恐縮ですが、なかなか分かりやすい例なので…。)
カジキマグロの一本釣りと、投網をイメージしてください。
一本釣りの場合、お目当てのマグロを釣り上げるのにはテクニックが必要ですね。経験も、かなり重要です。
ところが投網の場合、目当ての魚もかかれば、その他の魚もかかります。
このように投網の場合、【即・客】も【いつかは客】も同時にかかってきます。
すると、一匹あたりにかかる獲得コストは、大幅に削減できるのです。
【いつかは客】を集める3番目のメリット
【即・客】に育っていくからです。
例えば、「1年以内位にはマンションを買いたいなぁ」と思っている見込み客が行動をとりだすと、例に出した1年という期間は、おおむねスピーディに短縮しだす場合が多いのです。
「えっ?!」と思いません? この原因とは、何なのでしょう?
関連情報の量が増えることで、判断基準が明確になるから、なのです。
「マンションが欲しいなぁ」と思った見込み客は、1つずつ小さな行動を起こします。
雑誌を購入したり、展示会を見に行ったり。また資料を請求して取り寄せます。
・・・ このように、見込み客さんの中で関連情報の量が増加していきますね。
そうすると、「まだ予算がないから」と思っていたにも関わらず、「少し無理すれば何とか」と思い始めます。
「こんな間取りがいいなあ」とか「駅の近くがいい」「子供の小学校との距離は」など、具体的な姿を明確にイメージする時間が多くなってきます。
その結果、小さな行動を起こしたお客の多くが、短期間で購入の決定をするようになってくるのです。
これは他の商材・サービスでも、人間ですから同じプロセスを踏んでいくわけです。