「マーケティング」という言葉は、随分と騒がれるようになり、私自身が起業した13年前は今日ほどではなく、よい時代になったと思います。
事業主にとってマーケティングは、どこまで行っても決して切り離せず、御社の明暗を大きく分ける重要なものだと言えます。
私自身、マーケティングの徹底活用で、何度も苦境を乗り越えさせていただきました。そもそも私は、起業当初からマーケティング・コンサルタントになろうと思っていたわけではなく、後付けです。
(このあたりのエピソードは、こちらでも書いてあります。)
巷のコンサルタントで、よく言われる評判。
「金だけとって、もっともらしい話ばかりして、実際の役には立たない。」
私自身、そのような「先生」に振り回されてきた経緯があるので、とても嫌悪するのです。
そんな私の場合は現場からの苦い経験を乗り越えた後に、たまたまマーケッターになっていった人間ですので、まず現場から教わった視点から記します。
私の起業当初は通信系の代理店事業を行っており、その顧客獲得のため、社会に浸透し始めていた、いわゆる小予算マーケティングとも言われる「感情マーケティング」ノウハウを入手、実践し始めたのです。
勢いだけで起業した、人脈なし・資金なし・たいした営業スキルなし、の、私には広告展開しかなかったのです。
まず踏まえていただきたいのは、【顧客獲得の土台が弱く、廃業予感がしていたとしても、広告展開の徹底で打破できる可能性が強い】と、いう事実です。
今でこそ「感情マーケティング」の存在を知る人は多く、関連書籍もベストセラーになり書店で平積み。各種関連教材やセミナーも豊富です。
アメリカでは200年以上前からあった、このノウハウは、日本でもそれだけ必要性があるということです。
今日、その存在すら知らなければ、事業主としては逆に問題かもしれません。
しかし、ここで多くの勘違い・逆効果が発生しています。
その内容を、そのままサルマネすればできる、と思い込んでいる(思い込ませられている)ケースが多いことです。
・・・実は、私自身もそうでした。
注意していただきたいのは、ノウハウや同業他社の成功事例を単に模倣しただけで、そう易々とうまくいくわけがないという点です。
それでもたまには高い広告反応を得られる場合もあります。
しかし通常、それは一過性であり継続もしなければ応用もできない、のです。
それこそ、考えてもみてください。
ベタな言い方ですが、それだけで成功するなら、誰もがすぐに成功者です。
現実は違います。
起業するということは、仕掛け続ける側に立つということですよね。
ところがノウハウ提供側が巷で言っているような、「カンタンにできる」云々という演出に惑わされ、忙しさにかまけ突き詰めもせず、自社で進めてしまう。
そして「実際は、そんな旨い話なんかない。」という、実にもったいない結論に終わっているケースが多く見受けられるのです。
それではノウハウ販売会社に、逆に仕掛けられただけです。
ないないづくしの私には、逃げ道はありませんでした。
しかも私自身、前述で触れたような、たまたまうまく行った広告を経験してしまい、変な癖がついていました。
その後、広告反応がすぐに激減しても、今思えば突き詰めた見直しもしているつもりができておらず、広告費ととにかく手当たり次第にマーケティング・ノウハウを仕入れる経費で、なけなしの資金をドブに捨て続けたのです。
そんな愚かな状態を自覚するまで月日はかかり、資金の底は見え始め、眠れぬ夜を何度も繰り返しました。
その間、何度も自分なりに広告を見直したつもりでも、反応率はなぜか低いままです。
このようなケースはかつての私だけでなく、益々、増えているようです。
すぐに資金の底は見え始め、深刻に頭を抱え、眠れぬ夜を何度も繰り返しました。
その間、自分がだしていた広告のネーミング、キャッチコピー、広告文等々を、何度も自分なりに見返し変更していました。
それでも広告反応率はなぜか上がりません。低いままです。
ビジネスパートナーとも何度も話をしていて、暗中模索の中、とにかく原点に立ち返ることを意識的に強化しようと決めました。
ここで言う原点とは、シンプルなことです。
基本から徹底してマスターできているかどうかチェックし、ノウハウの原理原則をとことん体得するために、時間と労力を費やすということです。
「守・破・離」という言葉があります。
600年前に能の世阿弥(ぜあみ)が説いた「風姿花伝」(「花伝書」ともいう)のなかで展開した芸能論の一部です。
能や歌舞伎などの稽古事で、物事を学び、表現をしていくための成長ステップとしての言葉です。
守・・・ | 最初は、師の教えを清濁併せ呑み、「型」を忠実に「体現」出来る様に取得する。例) 端の持ち方。格闘技の型。自動車の運転の仕方。 |
破・・・ | 守で学んだ基本に、自分なりの工夫を加え、自分にあった形で打破する段階。 |
離・・・ | 離れていく。基本を中心に添えながら、形にとらわれず試行錯誤して見えてきた、自分独自の仕組みや体制を創りあげていく。 |
10年後も、20年後も、事業主として生きていく為には、小予算マーケティングについても、このプロセスは必須です。
カンタンに言えば、「知っている」と「ワカル」は違いますし、よく言われるように「ワカル」と「デキル」も全く次元が違うのです。
まずは模倣から入るのは大事なステップです。
しかし、それはサルマネではなく、最低でも人まねレベルにまで引き上げなければ、変化の激しい現実には通用しません。
更に人まねレベルでも、その効果には、すぐに天井があります。
「守・破・離」を徹底し続けてこそ、コンスタントに高反応が得られる広告展開が可能になります。
例えば私は、このプロセスのためだけに、軽く高級車3,5台分の資金は使ってきました。
そのプロセスを借金してでも執念で繰り返すことにより、じわじわと広告の反応率は上がり、あるときから、まず広告でダメだったという結論に至るケースは、ほぼ皆無に近い状態となったのです。
今ほど、感情マーケティングが浸透していなく、情報も限られていたという違いもあるでしょう。
今なら、ここまで苦労せずとも、コンスタントに広告反応率は得られるようになれる情報は豊富にあります。
ただ何にしても、表面だけをなぞらっていては、どれだけ情報源があろうとも、時間・労力、そして大切な資金の浪費になってしまうということを、全ての根幹として何度も自らに言い聞かせてほしいということです。